◆北京のチョウ(040125)
 中央集権の時代から地方分権の時代に変わりました。元三重県知事の北川正恭氏は、日本国民一人一人が「北京のチョウ」になれと言います。国民は、お上に頼るのではなく、自ら行動することを求められています。

 
あなたが変わる あなたが変える あなたのために!


                     

地域自立と道州制   中日新聞(040120)
 北川正恭氏 早稲田大学大学院教授(元三重県知事)

 最近、「北京のチョウチョウ」という言葉を提唱している。北京で一羽のチョウチョウガ羽ばたけば、ニューヨークでハリケーンが起きるという複雑系の理論。小さな揺らぎや気づきが社会を変えていくという例え話だ。

 日本では戦後、不足しているモノを充足するため経済第一のグランドデザイン(基本となる総合計画)が描かれた。40年たち、モノが充足してきた時点で変わらなければいけなかったが、当時日本は「JAPAN AS NO1」といわれ、圧倒的な勝ち組となった。そのために抜本的な改革はできなかった。

 しかし、その中で、顧客第一主義の経営に変えなければならないといち早く気づいた企業が勝ち組として残った。乗り遅れたのが政治・行政だった。

 
物を充足させるためには権力を集中させる中央集権が有効だった。だんだん豊かになってくると、今度は個人の自由とか地域の独自性を出そうということになってくる。その空気が地方分権への流れを促していった。

 全国一律の政策でなく、過疎の町は過疎の町なりのやり方があり、自分たちに任せた方がうまくいくよ、という考えが分権論や合併問題の下敷きになっている。社会を統制する前提が変わってきたから、自分たちの知恵で何とかするということを尊重していかなければならない。

 昭和30年代ごろは、地方も経済的に逼塞していたから、国から交付金や補助金を以下に得るかを考えるのが自治体職員の最大の仕事だった。そのため誇りが持てる仕事ができず、全て中央で考えてもらい、官官接待した。

 全国320万人の自治体職員それぞれが北京のチョウになって自己決定し、自己責任を問われるようになったとき、この国の閉塞感から抜け出し、地方が本当の意味で元気になる。そういう自覚がない限り、形式的に道州制になっても絵にかいたモチになる。

 特定業界団体に対してではなく、納税者に対して説明責任を果たすために、これからの政治・行政は情実ではなく、透明なルールで決めるものへと仕組みを変えていかなければならない。

 自治体に、国から予算を取ってくることを要求し続けてきた国民も反省しなければいけない。マニフェスト(政権公約)を掲げた選挙を提唱してきたが、これは政治家の約束であると同時に、選ぶ側の責任も問うという双方向のものだ。地縁、血縁ではなく、契約−マニフェストによって選んでほしい。公約を守らない政治家に白紙一任するのでは、民主主義とはいえない。

 地域が変われば国が変わる。情報公開法、行政評価法も地方から始まった。
「国に変えてもらう。」という気持ちでなく「住んでよかったと思える町をつくるにはどうしたらよいのか」という発想からスタートし、自分たちの町からこの国を変えようという強い意志を持つ。それが21世紀の新しいグランドデザインになる。

 

                     

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