◆4−1.学区コミュニティ

 地方分権一括法が平成12年4月に施行され国と地方が主従の関係から対等・協力の関係となり、地方自治体の自立と活性化を促すため役割分担をして地方分権を推進しようとしています。このことは、市町村と学区との地域分権つまり学区を自治区にすべきである(学区コミュニティー)と言う考えが提言され、滋賀県、兵庫県宝塚市、静岡県大井川町等で実践されています。今なぜ学区コミュニティーが注目を浴びているのでしょうか。
                                    

 世界2次大戦敗北後、日本中に物がなく、貧困で生きていくのが精一杯の時がありました。国は社会資本を平等に分け与えようとすることを基本政策とし、全国津々浦々に等しい生活環境を実現するため、交付金、補助金を地方自治体(都道府県、市町村)に分配してきました。この政策の中で国民は一生懸命働けば金を得られ、物を得られ幸福になることができると頑張ってきました。高度成長時代を経て、GNP世界2位までになり物の豊かさを実感できるようになったのです。その結果国の政策とおり、格差を生まない画一・均質的なまちを日本中に作ることになりました。


 しかし、成熟社会となり物が豊かになっても、なぜか幸福感を満たすことができないことに気づきました。金や物では変えられない心の問題です。人は生きている証がほしい。人のためになることをしたい。人に認められたい。人間の本能である自己実現といわれる欲求を満たすことを求める個性の時代になったのです。ボランティア活動する人や、行政に興味を持ち市民参加の事業に積極的に関わる人が現れるようになりました。
 〔できることからボランティア

 つまり、貧困は人を平等に扱うことを求められ、上下、命令、支配、管理、固定、画一、そして服従、従属、依存、甘えという「タテ型構造社会」を生みだしました。他方、豊かさは個人個人の自己実現を求め、協力、強調、相談、流動、多様そして自主、自立、責任、個性という「ヨコ型構造社会」を形成するようになってきたわけです。(『地域主権論』 江口克彦 PHP研究所)
                         

 ところで、人類発生以来、人は本能的に身を守るため必然的に集団を形成し、相互扶助して生きてきました。それぞれの集団の単位が広がって家族、組、常会、総代区(町内会)、学区、市さらには都道府県となります。
 その中で、人口1〜2万人程度を単位とする学区は、以下のようなまちづくりが有効であるとされています。

             
1.小中学校との関わりの強い分野
  (子育て環境づくり、青少年の健全育成、健康・スポーツ)

2.総代区(町内会)よりも広域で取り組むことにメリットのある分野
  (防災、・防犯、河川流域単位での環境保全、地域福祉、リサイクル、地域通貨、
   施設の管理委託)

3.学区の人材と専門性を活かしやすい分野
(生涯学習、地域情報の発信、まちづくり、地域特産品開発、
   住民参加の政策・計画づくり)
『NPOと地域住民組織の協働によるコミュニティづくり』コミュニティ政策学会より
                                      

 このように学区内での福祉・環境・教育・自主防災等には学区毎に個性(特性)を発揮すべきであり、重要な役割があります。これらの行政権限を委譲していくことにより「ヨコ型構造社会」を形成し、心豊かに生きがいのあるまちづくりが出来るとされています。

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