■新たな高齢者像 日野原重明審査員長に聞く (読売03.4.1)

**可能性に目向け「挑戦」を**     

 創造的に生きる七十歳以上の人を顕彰する第3回「ニューエルダーシチズン大賞」の募集が始まっている。審査員長で、「老いてこそ豊かに生きられる」と説く日野原重明・聖路国際病院理事長に、新たな高齢者像について語ってもらった。(林 真奈美)

   
−−人生八十年時代の高齢者像は、どうあるべきでしょう。
日野原 日本は間もなく世界一の老人大国になります。このままでは、経済を含めた国全体の活力が失われてしまう。それを防ぐには、老人が頑張って若者に戻ればいい。知力、体力、創造力を発揮して、社会に貢献しつつ生きるということです。老人はこれまで、「終わった人」と考えられていて、それに甘んじている人も多い。だから、老いても若々しく生きている人たちが、みんなを勇気づけ、励ます必要があります。その役割を果たしているのが「ニューエルダーシチズン大賞」です。


−−日野原さんの提唱で発足した「新老人の会」も、同じ目的ですね。
日野原 はい。会員はどんどん増えて、もうすぐ三千人になります。支部も全国に広がっています。パソコン教室を開いたり、合唱団や俳句の会などを作って、楽しく活動しています。子供たちに戦争体験を伝えるため、語り方の教室も開く予定です。


−−若々しく生きるコツは何ですか。   
日野原 七十五歳から何か新しいことを始めて、十年は続けて下さい。六十五歳からの十年は、何をやるか決めるための準備期間。老人には、たくさんの可能性があります。芸術や文学の才能などは、現役時代は使わずにきていますから。新しいことに取り組むと、自分が成長し、活性化するのがわかります。年をとっても、自分にはそんなエネルギーがあるんだと自覚できると、青空が広がるような気がしますよ。


−−病気や障害のある人には、難しそうですね。
日野原 大切なのは、病気や障害を気にせず、自分の可能性に目を向け、さわやかに生きることです。僕も、足腰が弱くなるのは当然と思って、転んでも平気なように家で受け身の練習をしているんです。転ばないよう行動を控えたりはしません。


−−新しいことに挑戦する際、何を心がけるべきでしょう。  
日野原 自分の活動を子供たちに還元する気持ちを持ってほしいですね。パソコンを習って孫に教えるとか、一緒に音楽を楽しむとか。子供たちに「すごいなあ」と感心される技を持つことです。老人を「すごい」と思えれば、子供たちは人生に希望を持つし、命の大切さを実感する。そうすることが、老人の使命だと思います。

                 

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