★(平成15年9月定例会 柴田安彦議員)

設楽ダムの見直し

 議長の許可をいただきましたので、通告の順に一般質問をさせていただきます。

 まず最初に、水源問題と水道事業の効率的な運営について伺います。市民に供給する水は安定的で、安全かつ安価である必要があります。
幸田と蒲郡を結ぶ連絡管の完成により、矢作川水系との連携が可能となりました。水の確保は天候という自然を相手にすることですので、非常に予測は困難な面があります。そこで、なるべく広域に降る雨をうまく配分して、安定的な確保を図ることが重要になります。その点では、2つの水系をつないで、相互に水を活用できることは大きなメリットがあります。これをうまくいかせば渇水問題はかなり解消させることができるのではないでしょうか。ただ、残念なことはこの連絡管の利用が渇水時などの緊急用に限定されて運用されることになっていることであります。渇水を起こさないためには、普段から節水を行うとともに、限りある水源を減らさないように維持することです。つまり余裕のある段階でも、さらに余裕のある水源の水を使って、ストックを平準化することが大事なのです。

 私は、連絡管の運用を常時行って、2つの水系を1つの水源として扱うようにすることを提案するものであります。確かに、水利権問題は難しいものがあると聞きますが、それが実現すれば水確保に大いに役立つことは間違いありません。もちろん関係者の理解を得る必要があるので、一朝一夕にできることとは思いませんが、政治的な解決も含め、将来的にはそういう方向を目指す必要があると考えます。市長の見解を伺っておきます。

 設楽ダムは洪水調整、維持用水確保、利水の3つを目的とする多目的ダムとして位置づけられています。国土交通省の設楽ダム工事事務所のホームページを見ると、設楽ダムは豊川の洪水を軽減しますと書いてあります。洪水を防ぐとは書いてないのであります。それは、150年に1回あるかないかの洪水に対応するよう計画がされているため、1億tという巨大なダムをつくっても防ぎきれないことをあらわしているのです。新城市の石田地点での洪水調整対策、秒間3,000tの3分の1を担うにすぎません。下流域の中小河川が10年に1度の洪水にすら対応できていないことを考えれば、いかに過大なものを目指しているかは明確であります。上流にあるダムによって下流の洪水を防ぐことは極めて困難です。

 同時に水利用についてもその需要を見直す必要があります。愛知県2010年計画では、相変わらずバブル経済期の右肩上がりの水需要で推計した数値で将来予測をしています。一昨年7月には、観測史上最低といわれた降水量でありましたが、結局、湛水中の大島ダムの水は使わずに渇水を乗り切りました。設楽ダムが完成するであろうころには、人口は減ることが予想されています。住民を挙げて節水対策や新しい技術の導入で水の使用量を抑えていけば、設楽ダムをつくらずにすませることが可能だと考えます。設楽ダムで維持用水を確保するとしていますが、ダムをつくらないことこそ自然を守ることになるのではないでしょうか。

 私は、今でも設楽ダムの建設には反対です。自然や水没地住民への負荷が大きいばかりでなく、その経済的負担は水道料金などにはね返って市民を苦しめることになります。設楽ダムをつくらなくても済むようにする対策の1つは、連絡管の常時利用でもあるわけです。これが有効なのは、すぐに活用できることです。設楽ダムを待っていたら、いつになるのでしょうか。住民が安心して暮らせる地域をつくることを模索するべきではないでしょうか。あわせて市長の見解を伺っておきます。


★(平成15年9月定例会 栗田一衛企画部長)
 柴田議員のご質問のうち大きい1番の(1)と(3)についてお答えいたします。

 初めに、連絡管の件でございます。議員おっしゃられましたように、私たちも確認しましたところ、この連絡管の常時運用については、非常事態のときだけだというふうに、愛知県の企業庁からお聞きしております。議員さんのおっしゃることももっともだと、それも私たちも思います。ただ、この水利権というのは大変難しい問題がございまして、歴史上何度かの戦も起こっているという状況でございます。ということで、議員おっしゃられたこと、1つの考え方としてお聞きしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 また、設楽ダムの件でございますが、人口は減るではないかと、当然私たちもそのように思っております。ただ、これまでの歴史からいきますと、文化水準が上がりますと水利用は増加しているという状況にあります。この設楽ダムの完成時点での水の需要状況につきましては、国の発表がありません。ことしは、水、大変大丈夫でありましたが、これまでのたび重なる渇水などということを考えますと、安心できる状態ではまだないではないかと思います。設楽ダムは東三河地域の将来を支える大事な施設と認識しております。


★(平成15年9月定例会 柴田安彦議員)
 まず、水道の問題から再質問させていただきます。担当職員のレベルで答弁をしようと思うと、今のような答弁にならざるを得ません。県がこの連絡管は非常事態のときしか使えないよと。だけど現につながっているんですよ。ほとんど使わずに埋まっているだけ。これを使えば2つの水系の水を相互に利用することができる。極めて大きなメリットなんです。確かに水利権の問題というのは、克服が困難。だけど、未来永劫水利権があるからそんなことはできないんだと言い続けるのかどうか。一体いつから水利権があったのですか。いずれのときには、そういうものも解消していく、そういう方向がとれたら実に自然に対しても有効だし、市民にとっても有効じゃないか。こういう話をしていくのは、やっぱり政治家の範疇に属する議論かもしれません。

 ただ、例えば
蒲郡の市長がそういうふうになったら理想的だという発言をすればいいじゃないですか。そうしたらうんと水の使い方が有効にできる。そのことは認めるでしょう。連絡管を常時使っていったら渇水対策にもなるし、むだなダムをつくらんでも済むかもしれん。これがやはり議場での議論というのは、担当職員との議論じゃないんです。市長と議員の政治的な論争なんです。だから、そういう意味で言うと、いいことだし、やったらできるし、もう目の前に管はつながっているとなったら、これを有効活用しようというのは、政治家が考えるべき話です。どうやってその水利権を解決するかというのは、いろいろなアプローチの仕方があるだろうし、担当者では難しいことです、もちろん。それは政治的な決着をつけにゃならん場合がある。だけれども、そういう方向がいいとわかれば、そういう手だてをとっていく。いろいろなところで発言をしていく、あるいは働きかけていく、そういうことが必要じゃないかということです。きょうあすの話をしているわけじゃない。ただ、現にパイプは入っているんですから、使えるんです。そこさえ解決すれば。こんな有効な話はないわけです。これをほっておく手はないんです。私は、ぜひとも市長がその有効性を改めて認識していただいて、いろいろな場面で働きかけをしていただくということがいいんではないかと思いますので、これは改めてもう1つ上のレベルでの議論として答弁をしていただきたいというふうに思います。

 それから、設楽ダムの話で、文化水準が上がると水を使うようになるからという話が今ありましたけれども、確かに水洗トイレがふえて、使う水の量というのは上がってくるというのはあります。ただ、この今の設楽ダムの規模の話なんですよ。壇上でも申し上げましたけれども、150年一の渇水対策だといって1億tだといってやっているんですよ。蒲郡の川は何年一の安全対策になっています。10年一確保できていないでしょう。建設部長さん、知っているかな。多分、5年一というところはあります。全然桁が違うんですよ。じゃあ設楽ダムは何年耐用年数がありますか。150年一だと言っているわりには100年しか持たないでしょう。役に立たないんですよ。みずからの耐用年数が100年しかないのに、150年一の渇水対策、洪水対策だと言っているんですよ。それも規模としては3分の1しか救済できないですね、さっきも言ったように。こういう極めて現実とかけ離れたダムになっているんです。それでもってこれをつくったら、我々の水道料金はどうなりますか。べらぼうに上がりますよね。この間も随分水道料金上がりました。あれ、何で上がったかといったら、河口堰ができたからでしょう。使いもしないのにあんな大きなものつくって。愛知県民に皆負担をかけるんですよ。

 設楽ダムつくったらどうなりますか。2,000億円かかるんですよ、ダムだけで。だから本気になって、一体この設楽ダムは何なんだということを理解して、自治体の中心たるメンバーは発言をしてもらいたいと思うんです。県がこう言っているから、国土交通省がこう言っているから、その受け売りでは私は、市民は納得されない、納得してもらえない、こういうふうに思います。私の考えにご意見があれば答弁をお願いします。



★(平成15年9月定例会 金原久雄市長)
 矢作の水をこちらにというご意見で、水利権のことでありますが、かつて十数年前に鈴木知事、愛知県知事のときに、本当に宇連の水がなくなって、静岡県知事に頭を下げて水をもらったという経緯があります。そしてまた、今でも毎年一定の条件になると、6月、7月に天竜の水をこちらへ、もらっているんでなくて、導水してもらって、買っているわけでありますが、水利権とは大変なものだなということの認識の中で、もう動かしがたいものだというふうに認識をしておりました。しかし、柴田さんのご意見おっしゃるとおりであります。
私も一度水利権のこと、もう市町村長の中では水利権の壁は破れないというふうに認識をしておりましたので、もうそのまま設楽ダムはどうしても欲しいという考えでありましたが、矢作や天竜の水がもらえれば、宇連ダム1億tでなくて5,000万tでいいかもしれません。設楽ダム。1億tでなくて5,000万tでもいいかもしれません。一度、真剣にその水利権について、勉強をして、次のときには的確なご答弁ができるようにしておきます。



★(平成15年9月定例会 柴田安彦議員)
 市長の非常に前向きな研究をしてみたいという答弁を伺って、私は非常に安心をしました。物事は固定的にとらえてはならないと言ってますね。科学的なものの見方だというふうに私は教わってきました。そういう意味では、歴史というのは動かしていけるものだという確信を持って、特に政事に携わる方々はあるべきだというふうに思います。そういう意味では、今の市長の答弁を歓迎をする立場で聞いておりました。


 (中野議員の質問)


★(平成15年9月定例会 金原久雄市長)

 中野議員のご質問にお答えする前に、先ほど柴田議員に対する答弁の中で2点ほど訂正をさせていただきます。宇連ダム1億tと申し上げて、しっかり訂正したかどうかわかりませんが、これからつくるのは1億tの設楽ダムということと、
次の機会に勉強してというふうに申し上げましたが、よく考えましたら、私の任期はこの議会が最後でありましたので、機会があればということにさせていただきたいと思います。



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