★（平成１０年１２月定例会　日恵野佳代議員）

『市内無料巡回バス』　　　　　　　　　

　高齢者や障害者、子供などが利用できる市内無料巡回バスの実施を求めるものです。市は、これまで、公共交通検討委員会を設置し、交通体系の見直しを検討してきました。公共交通検討委員会は、見直し検討課題として、５点を挙げています。高齢化がますます進み、高齢者のための交通手段の検討、やさしいまちづくりとして障害者等の弱者に対する交通手段の検討、公共施設の交通アクセスの検討、生活路線の充実、観光客の交通アクセス、これらの中で民間バスによる生活路線充実は具体的に進んでいます。新市民病院に路線ができ、市役所や三谷北通を通る路線が、開通に向けて準備中だと伺いました。他地域で次々と路線バスの廃止が伝えられる中で、大変なことだと敬意を表するものです。また、寿楽荘には、毎月26日を風呂の日として無料送迎バスを走らせ、お年寄りに喜ばれています。


　しかし、民間バスのバス停の数は60か所ほどで、市内全体をカバーすることはできません。車が無ければ、市内の移動は大変困難です。高齢者、障害者への対策は進んでいるとは言えません。人にやさしいまちづくり推進計画書は、「障害者アンケート、市民アンケートを見ると、公共交通機関の便が悪いという声が多い」と現状を指摘しています。　　　


　お隣の幸田町や碧南市、佐屋町など、愛知県下では、９市15町が高齢者、障害者等の交通弱者の利便を図る、あるいは交通空白地域の支援などの理由で巡回バスを実施していると聞きます。碧南市では、車椅子でも乗れるバスが市内をくまなく回り、集落から 500ｍ以内でバス停に出られるようコースを設定しています。外回りコースに88のバス停で右回りと左回り、中央コースは35のバス停があります。碧南市の面積は 35.81立方メートルですから、蒲郡の５分の３程度の面積です。


また、佐屋町は 18.65立方メートルで、45か所にバス停があります。いずれも好評で碧南市では、毎月の利用者予測が 5,000人だったのに、２倍の１万人が利用しています。東京での調査によると、お年寄りが歩いて移動できる距離は１回 100ｍだそうです。 100ｍ歩くと休憩をする。また 100ｍ歩いて休憩という行動パターンです。休みながらでも歩いて行ける距離にバス停があれば、車を持たない人も行動半径が大きく広がります。公共施設での催しに参加したり、病院や買い物なども、今までより気軽に外出できるようになったというのが、実施した自治体での評判です。特にお年寄りは、寝たきりにならずに、元気でいてもらうのに、外へ出かけるのは大切です。佐屋町では、老人福祉センターをつくって、４年後に無料巡回バスを実施しましたが、その年に老人医療費が前年度に比べて７％減りました。４年かかって、バスを実施する前の医療費に戻ったそうです。バスの運行経費は碧南市がマイクロバス３台で 3,500万円、佐屋町は３台で 2,700万円です。
　　　　　

　蒲郡市では、現在民間バスに 3,000万円ほどの補助を行っています。路線で考えると、保健センターから市民病院へ行くコースは今年５月29日の調査では、１日７便で８人しか利用していませんでした。運送経費から収入を差し引くと１人当たり 1,630円の補助をしている計算のようです。丸山住宅から市民病院へは、１人当たり 554円の補助となります。碧南市では１人当たり 300円足らずの補助で巡回バスを走らせています。民間バスの路線のないところに補助と同じ程度の金額で巡回バスを走らせることができます。路線バスを利用できない人への支援として無理なことではありません。身障者対策のパワーリフト付バスにすれば、足の悪い人や車椅子の人でも利用できます。市民の足の確保、お年寄りの生活圏を広げるという立場で、車を持たない市民も気軽に外出できるよう無料巡回バスの実施を求めるものです。


　また、無料巡回バスの実施によって、民間バスの乗客が減ってしまうことが心配と言うなら、高齢者や障害者に無料チケットやパスを配ってはどうでしょうか。もともと赤字分の補助をしているわけですから、市がバス会社にお金を出して、がらがらのバスを走らせるより、無料チケットを渡して、乗る人が増えた方が市民にも喜ばれて、効果的なお金の使い方です。更に、人にやさしいまちづくり推進計画書は、「全市的な交通政策を進めるため必要な推進計画について検討します」と述べています。私は、現在の市民を入れていない公共交通検討委員会から一歩発展して、実際に車のない日常生活に不便を感じている市民も加えた交通政策検討委員会をつくる時期だと考えます。その中で、車に乗っていない人、障害者、お年寄りなどを対象に、ニーズ調査を行うことも求めておきます。当局の見解を伺います。